肚のうち

なかなか他人には言えない肚のうちを書きつづっていきます。

縁故採用

岩波書店が採用試験の応募資格に「著者か社員の紹介」という条件を設定したことが話題になっています。縁故採用を公言した形になったわけですが、今回は縁故採用について、私の意見を書いてみたいと思います。

現在は就職氷河期が常態化したような状態になっていますので、大学を出ても就職先がないという話をよく聞きます。専門学校や短大、そして高校を卒業して就職しようとすれば、それ以上に困難だろうと思います。

一方で、企業側(特に中小・零細企業)からしてみれば、求人を出しても人がなかなか応募がない、応募があっても採用できるような人物ではないという悩みがあります。つまり、就職難であると同時に採用難でもあるわけです。

そんなわけで、求人を出す側は、あの手この手で自社をPRするわけですが、その結果、実際に入社してみると求人の内容とずいぶん食い違いがあるといったトラブルにつながります。

逆に、応募する側も、経歴詐称や虚偽の自己PRなどは当たり前になってしまいましたし、面接で求人側が応募者に本当に尋ねたいことは法律で禁止されてしまっています。結果、採用してしまってから使えないことに気付くということも少なくないわけです。

岩波書店は、典型的な左翼出版社です。ですので、左翼思想と相いれないような人材を採用したくないのは当然でしょうし、採用された側にしても、明らかに自分の思想信条に背くような仕事をするのは嫌でしょう。ところが、思想信条に関することは面接で質問することができません。

ならば、事前に社員や著者の紹介が必要ということでフィルタリングしてしておいたほうがよいのでしょう。以前完全な公募にしたところ、「岩波書店の本を一度も読んだことがない」応募者が目立ったといっているのも、その真意は、イデオロギーが異なる、あるいは岩波のイデオロギーを理解していない応募者が多かったという意味ではないでしょうか?

 社会人は、単に知識が豊富だというだけでなく、良質な人脈が豊富にあることの方が重要です。思想信条のことはさておき、岩波式の縁故採用というのは決して悪いことではないと思います。